中秋の名月はなぜ「十五夜」とも言うの?
中秋の名月=満月とは限らない…?
お月見というと「満月を見る行事」というイメージがありますが、じつは完全な満月でのお月見ができる「中秋の名月」ばかりではないのです。
旧暦は、新月が満ちて再び欠けて一ヶ月が終わる…というサイクルだったので、一ヶ月は29日または30日で月の真ん中である15日を満月としていましたが、実際には月の運行は29.5日周期なので、15日がぴったり満月になっていない月も多いのです。しかしながら、ほぼ満月なので十分にきれいなお月さまを見る事ができます。
なぜ月を見る行事が旧暦8月15日になったのかも諸説ありますが、この時期は秋収穫シーズンに当たるので満ちた月を豊穣の象徴として祀った説もあります。地域によっては団子の他、里芋などの野菜をお供えする風習があります。
また、天体を観察するという意味では、この時期は夏より湿度が下が分空気が澄んでいて、屋外に出ても寒すぎない気候的なタイミングの良さもあるそうです。
中秋の名月を楽しもう
お部屋に秋の七草を飾ってみよう
お月見に飾る花と言えばススキ。稲穂に見立てて飾るという説が一般的です。風情があって素敵ですが、この時期は「秋の七草」の時期にも当たります。秋の七草にはススキも含まれているので、もし秋の七草が揃えばそちらを飾ってみるのもおすすめです。
秋の七草は、万葉集にある山上憶良(やまのうえのおくら)の歌に「秋の野で花を指折り数えると7種類あった」という意味の物があり、それにちなんでいるようです。
左から
ハギ(萩)
クズ(葛花)
フジバカマ(藤袴)
ナデシコ(瞿麦)
キキョウ(桔梗)
ススキ(尾花)
オミナエシ(姫部志)
最近の花屋さんに並ぶ花のような派手さはありませんが、しみじみとした情緒あふれる美しさがあります。
七草全て揃えるのが難しい場合は、七草の中のいずれかのお花が使われているリースなどを飾っても。こちらは、フジバカマの入った大人っぽくシックな秋色のリースです。
あなたにとってのお月見団子はどれ?
白いお団子は関東地方に多いスタイル
月見団子と言えば、白いお団子をピラミッド状に積むイメージが強いかも知れませんが、実はこのスタイル、元々は関東のお月見で用いられていた物で、地域によって異なる場合があるそうです。
関西風はあん団子
こしあんを巻いたスタイルは関西風。この形は、この時期に収穫される里芋に見立てた説と、ウサギが月で杵を持って餅つきをするという伝承にちなんで杵型とする説もあるそうです。
自由に楽しむ♪お月見団子のアレンジレシピ
特にこれ!と決まっていなければ、こんな風に東西スタイルの両方を盛り合わせたり、うさぎ型にしてみたりもかわいいですね。一つの生地から色々アレンジして、お月見パーティーという名のお茶会を開いてみませんか?
お月見団子を飾った後、食べる時にどうやって味付けするかちょっと迷いますね。そんな時は、こんな風にみたらし風にアレンジするのがおすすめ。どこか懐かしい甘じょっぱさが堪りません。
中心がくぼんだ、どことなくクラシカルな雰囲気の月見団子は、積む時に座りが良い形。ハチミツで甘みがつけてあるので、飾った後はきなこやあんこ、黒蜜で和スイーツとしていただくタイプです。
こちらは、お月見パーティーのデザートにもぴったりのシロップかけタイプの月見団子。一見シンプルですが、あんの代わりに生姜を加えて溶かした黒糖を使った特別な味わいのレシピです。
気軽にお団子を作って楽しむなら、白玉団子のアレンジレシピがおすすめです。満月のような黄色いかぼちゃ団子とウサギのような白いお団子の彩りがきれいですね。
お月見のお供にハーブティーはいかが?
日本では月のウサギは餅つきをしていると言われていますが、中国では薬を杵でついているとされているそうです。暑さが和らいだ頃合いなので、そんな故事にちなんでお月見に温かいハーブティーを飲んでみませんか?
季節の訪れを感じる、旬が始まったりんごのフルーツハーブティー
出始めのりんごを使った甘くて温まるハーブティー。シナモンはリンゴとの香りの相性が良いだけでなく、デトックス効果も期待できるそうです。
体に優しいフルーツ、梨のフルーツハーブティー
出盛りのフルーツを使ったハーブティーをもう一つ。梨は体に潤いをもたらしてくれるフルーツです。季節の変わり目においしく体を労わってみませんか?
疲れを和らげる、ミント入のホットチョコレート
ホットチョコレートにミントをプラスしたお手軽なレシピ。疲れている時にきれいな月を眺めてほっと一息つく時のお供におすすめです。
お月見を楽しんで、日常に一時のゆとりを持ってみよう
かつては収穫のお祝いとしても大切に行われていたお月見。忙しない毎日を送っているな…と感じたら、月のリズムで暮らしていた時代に思いを馳せながら月を眺めてみて下さい。ささやかな時間でも、きっと心に安らぎをもたらしてくれる事でしょう。
お月見のタイミングは地域によって異なる事もあるようですが、一般的には「中秋の名月」と呼ばれるのは旧暦の8月15日に当たる日です。そのため、現在の暦では毎年日付が変動するので、9月末の年や10月始めの年があります。