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【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

気温、風、街行く人々の装い…。みなさんは、季節の移り変わりをどんなときに感じますか?「花ごよみ」とは、季節の移ろいを花によって表現した暦のこと。連載第2回目は、梅雨の代名詞であるアジサイのストーリー。5月~7月にかけて最盛期を迎えるアジサイは、ジメジメとした梅雨時季に、陰鬱とした私たちの心まで晴れやかにしてくれるよう。今回は基本的な愛で方やメンテナンス方法から、生産者さんから教わった専門的なお話までアジサイのあれこれをたっぷりとご紹介します。(2017年07月18日作成)

協力:霽れと褻文:Amorpropio編集部

「紫陽花やきのふの誠けふの嘘」――かの正岡子規は、昨日までの真実も今日には嘘へと変わる様を、人間関係の儚さとアジサイの移ろう花色にかけてこのような句を詠みました。

夏の季語でもあるアジサイは、日本の夏の始まりを知らせてくれる花。
今月は、千葉県・南房総市の山間に広がるアジサイ畑から「ハレとケ定期便」が届きました。

アジサイの誕生秘話。“花言葉”が意味することとは?

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

「移り気」、「浮気」、「辛抱強い愛」、「謙虚」、「寛容」。
色合いや品種の違いによって、ポジティブとネガティブな意味が混在するアジサイの花言葉。
まるで人の心の移ろいを表すかのように、時季や環境によって青、紫、緑、赤、白色…と、変化する様がそのような花言葉の由来とも云われているとか。
しかし、憂うつな梅雨時季にも凛とした表情で美しく咲き誇るアジサイの誕生には、良からぬ意味の花言葉を吹き飛ばすかのような遠く日本とドイツの愛の物語が関係していたということをご存知でしたか?

学名は「オタクサ」。シーボルトとお滝さんの愛の物語

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

現在、私たちが頭の中ですぐにイメージができる丸い形をしたアジサイ。それは、まだ日本が鎖国時代に長崎に渡来した植物学者シーボルトが、ドイツに帰還した際に持ち帰った日本の「ガクアジサイ」という原種が元になっています。

長崎でお滝さんと言う花柳界の女性に恋をしていたシーボルトは、そのどこか色香漂うアジサイの佇まいに、もう会うことのできないお滝さんの姿を重ね合わせ「otaksa(オタクサ)」という学名でヨーロッパにこのアジサイを紹介したと云われています。

今でこそ、日本を代表する花として世界で知られるアジサイ。その誕生には遠い昔、日本とドイツで離れ離れになってしまった男女の儚い愛の物語が奥底にあったかと思うと、とてもロマンチックなお花に見えてくるから不思議です。

花色の秘密と品種の違い。まだまだ知らない、アジサイのあれこれ

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

小さな花がたくさん集まって、大きな鞠のような姿を見せるアジサイ。
実はこの一見、お花のように見えている部分は花びらではなく、萼(ガク)と呼ばれる葉が変形したもの。装飾花と呼ばれ、花粉を運ぶ虫たちを誘い結実を助ける役割を持つそうです。また、虫や動物から身を守るため、品種によっては葉に毒性が含まれているものもあり、人間でも食してしまうと中毒を起こしてしまうことがあるそう。
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日本の原種を元にヨーロッパで品種改良が繰り返し行なわれ、日本に逆輸入された鞠のように丸い種。こちらは「手まり咲き」と呼ばれ、今では一般的なアジサイの咲き方となっています。国内で知名度の高い「ホンアジサイ」や「西洋アジサイ」にも見られる咲き方です。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

こちらのように、まるで額縁のように縁に沿って花を付ける「ガク咲き」は、一般的な球形のアジサイの元の姿。シーボルトがドイツに持ち帰った、日本に自生する原種の1つ「ガクアジサイ」もこちらの咲き方です。

青、紫、緑…。七変化する色合いの秘密

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

アジサイの色合いは、基本的に土のph値で決まります。酸性に寄ると青色、アルカリ性に寄ると赤色に。また、アジサイが持つアントシアニンという色素が土中のアルミニウムに反応して色付くためアルミニウムの吸収量によっても色が変わるそう。最近では、あえて秋まで切らずに花を残し、緑から赤へのアンティーク調の花色を楽しむ“秋色アジサイ”と呼ばれる楽しみ方も増えているそうです。

『基本+α』で長く楽しめる!アジサイをお部屋に飾るためのコツ

基本の下準備

①不要な葉を取り除く。
 葉が水に浸かってしまうと腐りやすくバクテリアの繁殖に繋がるため、下部の茎は取り除いておきましょう。
②水切りをする
 きれいな水を張った容器の中に茎を入れ、ハサミでお好みの長さにカット。空気中で茎を切ってしまうと水の通り道である“導管”を空気がふさいでしまうことがあるので水中で行なうのがポイントです。

白い“ワタ”を取り除く、水あげ作業

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

通常の切り花は基本の下準備だけでOKですが、美しいアジサイを長く楽しむためには、芯の部分の白い“ワタ”を取り除くことがポイント!ハサミやフローラルナイフ(無ければカッターでも可)で茎を斜めにカットし、中の白いワタを掻き出します。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

この一手間が、アジサイの水あがりを良くし長く楽しむためのコツ。
※刃物の取り扱いには十分注意して行って下さい。うまくいかない場合は、基本の下準備までで十分です。

お水たっぷりの花瓶に活けて

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

アジサイはお水が大好き!葉の裏に多くの気孔があり蒸発量が増えるため、水分が十分に確保できる梅雨時季に咲くと言われています。お家の中に飾る際も、水をたっぷりと張った花瓶に活けてあげましょう。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

花瓶の高さと花瓶から出た花の長さは、1:1の割合が基本。アジサイにボリュームがありすぎると感じたときは房を切り分け、切り分けた房を小瓶に活けてそちらも楽しんでくださいね。

基本のメンテナンスは毎日1回。でも、それだけじゃダメな時は…?

基本のメンテナンス

①水を交換する
 お花を長持ちさせるための基本中の基本。毎日きれいな水に取り替えてあげましょう。
②茎の先を斜めに切る
 切り口を新しくして水の通りを良くしてあげましょう。できるだけ水に触れる面積を増やすために鋭角にカットしてあげるのがポイントです。

お花がぐったり…!? そんな時は“花屋の小ワザ”をお試しあれ

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

お花がぐったりしている、しおれてきている…!? しっかり基本のメンテナンスを行なっているにも関わらず、そんな風に感じた時に有効なのがこの“焼き上げ”の作業です。アジサイは水下がりしやすいお花なので、根焼きし水あげ処理を行なってあげるのが効果的。まず、花の上部(3分の2程度)を軽く湿らせた新聞紙などで包み、熱気からお花を保護しましょう。そうしたら、茎を火に近づけ茎の先2~3cmが黒く炭化するまで直火焼きにします。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

火に対し斜めにして焼くのがポイント。先が黒く炭化したら、すぐに水を張った容器に浸しそのまま水あげします。お花がシャキッと元気になったら、花瓶に戻してあげましょう。ワタを取ったり、焼き上げしたりと水あげ処理がとても肝心なアジサイ。美しいお花を少しでも長く楽しむためには、このような一手間を惜しまず丁寧に行なってあげることが大切です。
※火の取り扱いには十分注意して行って下さい。

単体では活けにくい?枝モノとの相性もぴったりなアジサイの飾り方

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

一輪で十分にボリュームのあるアジサイは、単体で飾ってももちろん素敵。
でも、お花の部分が重たくて不安定になったり、花瓶の中で茎がくるくる回ってうまく固定できない時ってありませんか?そんな時は、他の植物と一緒に活けてあげるとうまくいくことも。

今回の「ハレとケ定期便」では、美しいアジサイと一緒にワイルドなブラックベリーが届きました。アジサイは、枝モノとの相性も抜群!枝分かれしてある部分に引っ掛けるようにアジサイを挿してあげると安定しやすくイメージ通りに飾ることができます。

アジサイの花のように小さな実がいっぱい付いたフレッシュベリーの枝モノは、爽やかさをプラスして。他のお花にも添えるだけで、ぐっと雰囲気を良くしてくれるのでお花屋さんでも重宝されるそう。アジサイもこんな風に他の植物と合わせることで、シンプルだけど素敵なアレンジメントになりますね。

水彩画のような芸術品。日本一のアジサイをつくる「青木園芸」

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

今回、「ハレとケ定期便」でAmorpropio編集部に届いたアジサイは“青木さんのアジサイ”として業界内でも最高品質の呼び声高い「青木園芸」のもの。私たちがよく道端で見かける自生したアジサイとは一味違う“切り花としてのアジサイ”を丹精こめて栽培されている花農家さんです。青木さんのアジサイは、水彩画のように美しく繊細で、絶妙な色合い。思い描いていた色に、どれだけ近づけられるかが農家さんの腕の見せ所だそうですが、業界内にもファンの多い青木さんのアジサイにはどんな魔法がかけられているのでしょうか。

基本をきちんと。花卉業界を牽引する“会社”としての捉え方

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

清潔に、細部まで手入れが行き届いたハウス。何か特別なことをするというよりも、基本的なことをきちんとすること――と、話すのは有限会社青木園芸代表の青木良平さん。そこには、疎かになりがちな水やりや肥料の与え方、湿度管理などの基本的な部分をきちんと行なう丁寧な手仕事が見受けられます。

現在、農家や花卉業界全体が抱える人手不足などの問題とも真っ向から対峙している青木さん。
スタッフが気持ちよく働ける職場作り、“農家”としてではなく“会社”としての仕組み作りに日々奮闘されています。次世代にきちんと花農家という仕事を残すため、生産性や労働環境などをきちんと考えながら農園を“経営”されている青木さんが作る、まるで芸術品のように立派なアジサイからもその熱意が伝わってくるようでした。

湿っぽい梅雨も終わり。夏は、もうすぐそこ

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

その昔、お滝さんとシーボルトの愛物語をきっかけに世界中に知れ渡ったアジサイ。
一年の内、わずかな期間しか鑑賞することのできないその花は、私たちに夏の始まりを告げ、そして姿を消します。切り花を存分に楽しんだ後は、ドライにしておしゃれにディスプレイしても素敵ですね。
そろそろ、通い慣れた道に咲き乱れるアジサイも姿を消す頃。今年も、真っ青な空と太陽が光り輝く夏がやってきます。

次回は、「ヒマワリ」を知る

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.2-アジサイ

夏、真っ盛りの8月。次回は、太陽に向かって真っすぐに伸びるヒマワリのあれこれをお届けします。来月の「ハレとケ定期便」では千葉県の「ヤマキ花卉園」さんのヒマワリをお届け。知っているようで知らなかったヒマワリのお話、どうぞお楽しみに♪

霽れと褻(ハレとケ)

中目黒と蔵前に店舗を持つex. flower shopが新しく立ち上げたブランド。
毎月、旬のお花が届く「ハレとケ定期便」や大切な方へお花を贈るサービス「ギフトチケット」、SUEKI CERAMICSとのオリジナルの花瓶を販売する。

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