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【連載】minne×Amorpropio「ハンドメイドのある暮らし」
vol.3 陶芸作家・安達薫さん

「作り手のファンを増やすお手伝いがしたい」――そんな想いから始まったハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)」は、手作り作品の通販・販売を行うサイトです。登録するだけで誰でも展示・販売ができ、アクセサリーや編み物、生活雑貨から家具まで、世界にたった一つだけのハンドメイド作品と出会えるminneは、多くの「届けたい!」と「ほしい」と作品を繋いできました。この連載では、minneの作家さんが暮らしの中で、どのようにハンドメイドアイテムを取り入れているのかをご紹介します。(2017年05月26日作成)

写真:岩田貴樹文:Amorpropio編集部

【連載】minne×Amorpropio「ハンドメイドのある暮らし」
vol.3 陶芸作家・安達薫さん

JR藤沢駅から、江ノ電に揺られること5分ほど。
陶芸作家の安達薫さんが、海の気配をすぐ近くに感じられるこの場所に引っ越してきたのは今から7年前のこと。出産を機に「自然が豊かな場所で子育てがしたい」と思うようになり、生まれ育った東京を離れてこの場所に移住。4年前には、自身のブランド「POTERIE」を立ち上げました。飾らずシンプルに、日常にやさしく溶け込む佇まいこそが、安達さんの作る器の魅力です。

そんな安達さんが暮らすのは、素朴な質感の“白”と木のぬくもりに包まれた二階建ての一軒家。四季の移り変わりを楽しめる庭や、天井の窓から覗く空。自分が心地良いと思える空間で、自然を胸一杯に感じながら、日々作陶に励む安達さんのものづくりを伺いました。
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――まずは、安達さんが陶芸を始めたきっかけを教えてください。

料理を作るのがとても好きだったんですけど、ある日「あれ?」って、器が違うと感じる味覚も変わってくるっていうことに気付いたんです。そこから興味を持ちました。もともと好奇心が強いというか、若いころからいろいろな習い事をしていたのでいつもの流れで「やってみよう」って。

――初めはどこで陶芸を学んだのでしょうか?

7年前、ここに引っ越してきてから茅ヶ崎の教室に通っていました。先生がすごく自由な人だったんです。「好きなときに来ていいし、好きなものを作って下さい」って感じで。予約して行くっていうより「今から行きたいんですけど」って電話して、いきなり行くみたいな(笑)。先生に一対一で教えていただく機会も多く、そこから3年くらい通っていましたね。成形だったり、陶芸の技術的な面は教室で教わって、釉薬*(ゆうやく)についてのことはほぼ独学です。
* 別名・うわぐすり。焼き物の表面にかけるガラスのような材料。素焼きの陶磁器表面への水や汚れの付着を防ぐ
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――教室を卒業されたのは結構最近なんですね。陶芸教室は大体皆さんそれくらい通われるものなのでしょうか。

マニュアルがある教室もあると思うんですけど、私が通っていた教室は「最初はこれを作って」とか「湯飲み茶碗から始めて」とか、そういうルールが一切なくて。「作りたいものを作りましょう」っていうところだったんですよね。だから何年通ってどう、とかそういう感じでもなくて。


――気軽に楽しみながら通える教室だったんですね。

そうですね。縛りがあったら逆に行かなくなるタイプなので(笑)、たまたま自分と合っていたんでしょうね。だから卒業するときも「もういっか、卒業だな」って思って……。すごく自由な教室だから、どこかで自分が決めなきゃいけないっていう思いがあったんです。
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――先生に教わったことの中で、特に印象に残っていることはありますか?

ありますあります。なんというか、自分のエゴだと思うんですけど、「きれいに作りたい」とか「良く見せたい」とか、学んでいると技術に走ってしまうというか、そういう時期があったんです。でもものづくりって、歪みがゆらぎになって、それが作品の温かみに繋がる部分があると思うんですけど、あるとき考えすぎて行き詰まっちゃったんですね。そんなときに私が、「もう何をやっていいかわからなくなった!!」っていったら先生が一言「じゃあ、今まで教えたことを全部忘れてください」って。


――それはなかなか言えない一言ですね。それで気持ち的にも変化が?

自由になれましたね。狭くなっていた視界が広がったっていうか。その一言って、陶芸以外でも、自分の生活や生きて行く上でのものの見方にも繋がったので、今でもとても印象に残っていますね。年下で、男性の先生だったんですけど、技術以外にもいろいろ学ばせてもらいました。


――えっ、そうなんですか!勝手に年配の方を想像していました(笑)。

ああ、なんか陶芸の先生っていうとおじさんかなって思いますよね(笑)。その先生とは、仲の良い友だちみたいになっちゃって。包容力がある人なので甘えてたっていう部分もあるんですけど。でも、この前はその先生の作品が静岡の美術館に展示されたみたいで「あ、そっか、先生もすごい陶芸家だったんだ」って(笑)。
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vol.3 陶芸作家・安達薫さん

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――教室を卒業してから、実際に作品を販売するようになったのはいつごろですか?

たぶん4、5年前くらい。最初に販売したのは「minne」でしたね。世の中にハンドメイドサイトが出始めてきたころだったと思うんですけど。「minne」が福岡に実店舗を出したときも展示販売させていただいて。


――「minne」をどこで知りましたか?

たまたまネットを見ていたときに広告が出ていて、サイトの雰囲気がすごく可愛らしくて素敵だなって思ってページを開いたのがきっかけだったと思います。


――「minne」に出展してから、お客さんの反応はいかがでしたか?

すごく反応が良いですね。ピックアップしていただくと、あっという間にその商品が売れてしまうのでそれがすごいなあって。見てくださってる方がすごく多いのかなって思います。もう本当に良いお客様ばかりで、本当に私は恵まれてるなあって。購入されたあと、写真や感想のお手紙をいただいたくことも多いんですけど、販売することによって「世の中にはこんなに暖かな人たちが……!」って世界の見方が変わったというか。日本って、人っていいなあって思いました。
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vol.3 陶芸作家・安達薫さん

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――教室に通われているときは、「対・自分」ですもんね。そこからどんどん広がって。特に人気があるアイテムはなんですか?

こちらの白いご飯茶碗がよく出ますね。たまたま、私が一番初めに作った釉薬を使っているものなんですけど。あとは鉢だったり、お刺身のお皿ですね。


――父の日シーズンに向けて、贈り物におすすめのアイテムはありますか?

フリーカップですかね。ビールグラスや、湯のみとしても使えるので。普段使っていただけるようなものがいいと思います。


――安達さんのお父様に、ご自身の作品をプレゼントしたことはありますか?
後回しですね、家族のは(笑)。全部手作業で作っているので、なかなか手が回らないっていう部分もあるんですけど。「これは!」ってものができると、いろんな人に使って欲しくて、全部売りたくなっちゃう(笑)。
安達さんおすすめの「free cup」(画像提供:POTERIE)

安達さんおすすめの「free cup」(画像提供:POTERIE)

――安達さんの作品は、どちらかというと男性らしい雰囲気でかっこいい。父の日にもぴったりですよね。

私、委託販売でお店の人と初めて会ったときに「男の人が作ってると思ってた」っていわれたことがあります(笑)。


――でも、お会いしたらすごく可愛らしい方で。

中身はすごく「男」なんですよ(笑)。


――安達さんの器にはそんなかっこよさもあり、どこか飾らないやさしさがありますよね。作品を作る上で、特にこだわっているところは?

触れたときの素朴さや温かみですね。私、ご飯茶碗を作るのがすごく好きで。毎日使うものなので、食卓で使っていただくときに馴染んで、あると“ほっ”とするというものを作りたい。いろいろな作り方があると思うんですけど、私はデザインを主張させるのではなく「姿を消す」のが目標(笑)。そっと佇んでいるような、そんなイメージのものが作れたらうれしいな、と。
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――そういえば、お部屋の雰囲気も、安達さんが作る器と少し雰囲気が似ているなと感じました。

あ、ありがとうございます。私、珪藻土(けいそうど)とか、自然のものがとにかく好きで。床の木材でも、へこみや枝の模様がたまらない!変なところがマニアなんですけど(笑)。


――お部屋の中でも特にこだわった点はどこですか?

掃除が大変なんですけど、吹き抜けの空間ですね。このソファでぼーっとしているときに、窓から空が見えるんです。自然が好きなので、それを感じられることと、「解放感」にこだわりました。あとはやっぱり壁の珪藻土ですね。家を建てるときにインテリア雑誌を見ていたら、扱っている施工会社を見つけたので連絡して、塗ってもらいました。
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――全体を通して、ニュアンスのある「白」が印象的なお部屋ですよね。

陶芸をやっているせいか、タイルの質感もすごく好きで。キッチンやその側にある工房の床にはタイルを使いました。一番汚れる場所なので、使い勝手が良いんです。
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――工房の窓から見えるお庭もすてきです。これからの季節、楽しそうですね。

そうなんです!「実」が好きなんですよね。手前が梅の木なんですけど、毎年梅干しを作っているのですっごく楽しみにしているんです。一月には花も楽しめますしね。あとは、レモンとさくらんぼを植えたら、今年やっと実が成ってくれて。でも、そろそろ雑草抜かなきゃ(笑)。
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――ほかにお気に入りのスペースはありますか?

狭いところにいると、すごく落ち着きます(笑)。


――ご自宅、すごく広いのに(笑)。

いえいえ……。最近、娘が中学生になって、部屋を別々にしたんです。元々同じ部屋に扉を二つ作っていて、将来的に仕切れるようにしていたんですけど。壁だとお金がかかるので、カーテンで仕切りました。すごく狭いですけど、なんだか「自分の場所だ」って思えて。何もせずボーッとしてみたり。
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――家でお仕事されていると、そういう時間も必要ですよね。

私にとっては、作家としての仕事よりも「家事」が仕事のような気がする(笑)。すごく好きなことを仕事にさせてもらって、本当にありがたいというか、作陶する時間が生活の一部なんです。
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――逆に作品作りが息抜きになったりすることも?

私、ヨガをやっているんですけど、始めたきっかけは「瞑想」をしたかったからなんです。気持ちを落ち着けることで良い作品づくりに繋がるかなって。でも、陶芸も成形中に集中するので、そのとき自分の心がすごく静かになるんですよね。しーんとした空気を感じることができて、ヨガと陶芸は通ずる部分がありました。教室に通っているとき、看護士さんがすごく多かったんですけど、やっぱり集中するお仕事だから陶芸にも惹かれるものがあるのかなって。
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――まさにハンドメイドは、安達さんにとって生活の一部なんですね。

私は、陶芸を始める前から手を動かすことが好きだったんです。祖母がすごく手芸好きで、小さいころに編み物を教えてもらって、「私にも作れちゃった!」っていう感動があって。作ること自体ももちろん楽しいんですけど、自分がそれを使っているときの達成感も楽しみのひとつですよね。人に作ってもらったものもそうなんですけど、手作りって暖かいので、どこか「ほっ」とできるというか。さっきのお話じゃないですけど、私は自分の生活の中に「癒し」を追求している部分があるんです。生活で行き詰まったときも、「自分にはあれがあるじゃないか」って、何かあったときに拠り所にできるというか。私にとってものづくりはお守り的な存在なんです。これからハンドメイドを始める人も、とりあえず何か閃いたら挑戦すると世界が開ける部分があると思うので、ぜひ何でも試してみたらいいんじゃないかなって思います。
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